ペット達に関する豆知識です。
避妊・去勢手術に関する豆知識を更新します。
★ 今回は避妊・去勢手術のデメリット(#2)
を掲載します。
メリットは前回(#1)に掲載しています。
1 避妊・去勢手術のデメリット(#2)
(1)体重増加
避妊・去勢をした多くの犬や猫で体
重増加がみられます。ただし、飼い主
さんが食餌管理を徹底することや、カ
ロリー制限した太りにくいペットフー
ドに切り替えることで予防することが
できます。
(一説には30%のカロリー減が必要と
言われています。)
(2)失禁するようになる。
メス犬で避妊をした子(特に中型~
大型犬)に、稀にみられます。
(3)特異体質による危険性
特異体質により血液凝固能が低い個
体の場合、通常では止まる出血が止ま
らない場合があります。(先天性疾患
血友病など)
(4)全身麻酔による危険性
全身麻酔をかけることによるリスク。
当院では高齢の場合、去勢、避妊を
問わず血液検査を行い、リスクを少し
でも少なくするようにしていますが、
それでも100%安全だとは言えません。
人の医療の世界では盲腸や帝王切開
においても全身麻酔を使わなくなって
きています。なぜか?それは全身麻酔
がそれだけ危険性が高いからです。
当院での麻酔(手術時)は、導入麻
酔後、気管チューブを挿管、気道を確
保した上で吸入麻酔(イソフルラン)
を使用しています。麻酔中は心拍数、
心電図、呼吸数、呼吸気二酸化炭素濃
度、動脈血酸素飽和度などをモニター
しながら不測の事態に備えております。
2 避妊・去勢手術のメリット(#1)
(1)発情や妊娠がなくなる。
避妊手術をしていないメス犬では、
発情後に妊娠していなくても性周期に
よって偽妊娠というものが起こり、体
調や気持ちが不安定になる子がいます
(2)メスの子宮蓄膿症・乳腺腫瘍の予防
当院では卵巣子宮摘出手術を行って
いますので子宮蓄膿症はしっかり予防
ができます。また乳腺腫瘍はメス犬の
中で一番多い(全体の約70%)といわ
れており、その乳腺腫瘍の予防効果は
避妊手術の時期に依存します。避妊し
ていないメス犬と比べると、初回発情
前に避妊手術を行えば99.5%、1回目
発情後は92%、2回目発情後は74%の
予防効果があります。具体的には生後
8~12ヵ月ぐらいでの手術が適齢で
す。
(3)オスのマーキングがなくなる。
猫では80%~90%が、犬では約50
%でマーキングが無くなります。ただ
し、発情したメスが周囲にいる場合や
ある程度の年齢になってから行った場
合では手術の効果は薄れます。犬では
優位性を示すために腰を振るなどの行
為は残ることがあります。
(4)オスの精巣腫瘍、前立腺肥大、会陰
ヘルニア、肛門周囲腺種などの将来起
こるかもしれない病気の予防ができま
す。
(5)しつけがしやすくなる。
オス犬はメス犬に対する興味が薄く
なり、人間の指示に対する集中力が出
てきます。ただし、根本的な性格の変
化は望めません。
(6)皮膚病の改善
それまでに皮膚病に悩んでいた子が
手術後、体質が変化し、改善すること
があります。 (いわゆる性ホルモン
反応性皮膚炎)
3 ワクチンで予防できる猫の病気
(1)猫汎白血球減少症
① 白血球が極端に少なくなる病気で、
パルボウィルスが病原体。高熱、嘔吐、
食欲がなくなり、下痢が始まると脱水
症状になります。
② 体力のない子猫などは、たった1日で
死ぬこともある怖い病気です。
③ ワクチンを接種していれば、たとえ感
染しても非常に軽い症状で済みます。
(2)猫ウィルス性鼻器官炎
(通称:猫風邪)
① ヘルペスウィルスによる感染症で、ひ
どいクシャミ、セキ、鼻炎などの呼吸器
症状のほか、結膜炎を引き起こします。
高熱で食欲がなくなり鼻水と涙で顔中
くしゃくしゃ。典型的な風邪の症状がみ
られます。
② 皮下点滴や抗生剤、インターフェロン
などで治療しますが、一度かかってしま
うと完治まで時間がかかり、慢性化して
しまうことも多々あります。
③ ワクチンを接種していれば、たとえ感
染しても軽い症状で済みます。ワクチン
は具合の悪い時には接種できませんので
元気な時に接種してあげて下さい。
ワクチンは成猫ならば1年に1回、子猫
の場合は複数回の接種が必要となります
ので、病院にご相談下さい。
(3)猫カリシウィルス感染症
① かかりはじめはクシャミ、鼻水、発熱
など猫ウィルス性鼻器官炎に大変良く似
ています。
② 症状が進むと舌や口の周辺に潰瘍がで
きることもあります。
③ 時には急性の肺炎を起こして死亡する
こともあります。
④ ワクチンを接種していれば、たとえ感
染しても非常に軽い症状で済みます。
★ ワクチンについての詳しいパンフレット
は病院に常時準備してありますので、いつ
でもご確認下さい(^^)
4 熱中症に注意!
① 蒸し暑い室内や車内は危険です。
気温25℃、湿度60%を超えると熱
中症にかかりやすくなります。密室での
お留守番は5分でも致命的です。
② 気温が高い日の散歩や外出
人間よりも地面に近い所を歩くので、
動物は地面からの放射熱を多く受けます。
また熱々のアスファルトは肉球のやけど
の原因にもなります。朝、夕方の涼しい
時間帯にお散歩しましょう。
③ 熱中症の症状と応急処置
・ 症状:ハアハアと息が荒い。ぐった
りしている。舌の色が濃く赤黒い。
・ 応急処置:風通しの良い場所に移動
し、水分補給させます。全身に水をか
けたり、冷たい濡れタオルや氷水を入
れたビニール袋をタオルでくるんで、
頭やわきの下、後ろ脚の付け根にあて
ます。
・ その後、安静の状態を保って、速や
かに動物病院に連れて行きましょう。
5 動物が出会う中毒(有害植物)
① アサガオ
有毒部分:種子
症状:嘔吐、吐き気、下痢、
反射低下、幻覚、血圧低下など
暖かくなり色々な草花が咲いています。
動物にとっての有害植物は意外にたくさん
あります。園芸店の植物や散歩中に触れて
いる植物等あまり知られていないものもあ
ります。動物達のためにも有害植物を知る
ことは不幸な中毒事故を未然に防ぐことに
もなります。
★ このページは定期的に更新していこうと
思いますので、よろしくお願いします。
★ 今回は避妊・去勢手術のデメリット(#2)
を掲載します。
メリットは前回(#1)に掲載しています。
1 避妊・去勢手術のデメリット(#2)
(1)体重増加
避妊・去勢をした多くの犬や猫で体
重増加がみられます。ただし、飼い主
さんが食餌管理を徹底することや、カ
ロリー制限した太りにくいペットフー
ドに切り替えることで予防することが
できます。
(一説には30%のカロリー減が必要と
言われています。)
(2)失禁するようになる。
メス犬で避妊をした子(特に中型~
大型犬)に、稀にみられます。
(3)特異体質による危険性
特異体質により血液凝固能が低い個
体の場合、通常では止まる出血が止ま
らない場合があります。(先天性疾患
血友病など)
(4)全身麻酔による危険性
全身麻酔をかけることによるリスク。
当院では高齢の場合、去勢、避妊を
問わず血液検査を行い、リスクを少し
でも少なくするようにしていますが、
それでも100%安全だとは言えません。
人の医療の世界では盲腸や帝王切開
においても全身麻酔を使わなくなって
きています。なぜか?それは全身麻酔
がそれだけ危険性が高いからです。
当院での麻酔(手術時)は、導入麻
酔後、気管チューブを挿管、気道を確
保した上で吸入麻酔(イソフルラン)
を使用しています。麻酔中は心拍数、
心電図、呼吸数、呼吸気二酸化炭素濃
度、動脈血酸素飽和度などをモニター
しながら不測の事態に備えております。
2 避妊・去勢手術のメリット(#1)
(1)発情や妊娠がなくなる。
避妊手術をしていないメス犬では、
発情後に妊娠していなくても性周期に
よって偽妊娠というものが起こり、体
調や気持ちが不安定になる子がいます
(2)メスの子宮蓄膿症・乳腺腫瘍の予防
当院では卵巣子宮摘出手術を行って
いますので子宮蓄膿症はしっかり予防
ができます。また乳腺腫瘍はメス犬の
中で一番多い(全体の約70%)といわ
れており、その乳腺腫瘍の予防効果は
避妊手術の時期に依存します。避妊し
ていないメス犬と比べると、初回発情
前に避妊手術を行えば99.5%、1回目
発情後は92%、2回目発情後は74%の
予防効果があります。具体的には生後
8~12ヵ月ぐらいでの手術が適齢で
す。
(3)オスのマーキングがなくなる。
猫では80%~90%が、犬では約50
%でマーキングが無くなります。ただ
し、発情したメスが周囲にいる場合や
ある程度の年齢になってから行った場
合では手術の効果は薄れます。犬では
優位性を示すために腰を振るなどの行
為は残ることがあります。
(4)オスの精巣腫瘍、前立腺肥大、会陰
ヘルニア、肛門周囲腺種などの将来起
こるかもしれない病気の予防ができま
す。
(5)しつけがしやすくなる。
オス犬はメス犬に対する興味が薄く
なり、人間の指示に対する集中力が出
てきます。ただし、根本的な性格の変
化は望めません。
(6)皮膚病の改善
それまでに皮膚病に悩んでいた子が
手術後、体質が変化し、改善すること
があります。 (いわゆる性ホルモン
反応性皮膚炎)
3 ワクチンで予防できる猫の病気
(1)猫汎白血球減少症
① 白血球が極端に少なくなる病気で、
パルボウィルスが病原体。高熱、嘔吐、
食欲がなくなり、下痢が始まると脱水
症状になります。
② 体力のない子猫などは、たった1日で
死ぬこともある怖い病気です。
③ ワクチンを接種していれば、たとえ感
染しても非常に軽い症状で済みます。
(2)猫ウィルス性鼻器官炎
(通称:猫風邪)
① ヘルペスウィルスによる感染症で、ひ
どいクシャミ、セキ、鼻炎などの呼吸器
症状のほか、結膜炎を引き起こします。
高熱で食欲がなくなり鼻水と涙で顔中
くしゃくしゃ。典型的な風邪の症状がみ
られます。
② 皮下点滴や抗生剤、インターフェロン
などで治療しますが、一度かかってしま
うと完治まで時間がかかり、慢性化して
しまうことも多々あります。
③ ワクチンを接種していれば、たとえ感
染しても軽い症状で済みます。ワクチン
は具合の悪い時には接種できませんので
元気な時に接種してあげて下さい。
ワクチンは成猫ならば1年に1回、子猫
の場合は複数回の接種が必要となります
ので、病院にご相談下さい。
(3)猫カリシウィルス感染症
① かかりはじめはクシャミ、鼻水、発熱
など猫ウィルス性鼻器官炎に大変良く似
ています。
② 症状が進むと舌や口の周辺に潰瘍がで
きることもあります。
③ 時には急性の肺炎を起こして死亡する
こともあります。
④ ワクチンを接種していれば、たとえ感
染しても非常に軽い症状で済みます。
★ ワクチンについての詳しいパンフレット
は病院に常時準備してありますので、いつ
でもご確認下さい(^^)
4 熱中症に注意!
① 蒸し暑い室内や車内は危険です。
気温25℃、湿度60%を超えると熱
中症にかかりやすくなります。密室での
お留守番は5分でも致命的です。
② 気温が高い日の散歩や外出
人間よりも地面に近い所を歩くので、
動物は地面からの放射熱を多く受けます。
また熱々のアスファルトは肉球のやけど
の原因にもなります。朝、夕方の涼しい
時間帯にお散歩しましょう。
③ 熱中症の症状と応急処置
・ 症状:ハアハアと息が荒い。ぐった
りしている。舌の色が濃く赤黒い。
・ 応急処置:風通しの良い場所に移動
し、水分補給させます。全身に水をか
けたり、冷たい濡れタオルや氷水を入
れたビニール袋をタオルでくるんで、
頭やわきの下、後ろ脚の付け根にあて
ます。
・ その後、安静の状態を保って、速や
かに動物病院に連れて行きましょう。
5 動物が出会う中毒(有害植物)
① アサガオ
有毒部分:種子
症状:嘔吐、吐き気、下痢、
反射低下、幻覚、血圧低下など
暖かくなり色々な草花が咲いています。
動物にとっての有害植物は意外にたくさん
あります。園芸店の植物や散歩中に触れて
いる植物等あまり知られていないものもあ
ります。動物達のためにも有害植物を知る
ことは不幸な中毒事故を未然に防ぐことに
もなります。
★ このページは定期的に更新していこうと
思いますので、よろしくお願いします。